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カテゴリ:さ行-た行の作家( 8 )


氷の轍;桜木 紫乃


暇つぶしに図書館に行って、ぼんやり書棚を眺めてたら目に入ってきたタイトル。



桜木紫乃さん、初めましての作家さんだ。

北海道釧路市の千代ノ浦海岸で男性の他殺死体が発見された。被害者は札幌市の元タクシー乗務員滝川信夫、八十歳。北海道警釧路方面本部刑事第一課の大門真由は、滝川の自宅で北原白秋の詩集『白金之独楽』を発見する。滝川は青森市出身。八戸市の歓楽街で働いた後、札幌に移住した。生涯独身で、身寄りもなかったという。真由は、最後の最後に「ひとり」が苦しく心細くなった滝川の縋ろうとした縁を、わずかな糸から紐解いてゆく。  (Amazon 内容紹介より)


ストーリーは興味深く、二人の刑事が事件を追っていく過程に入り込んでどんどん読み進んだ。

まぁ、犯行の動機としてはちょっと弱い気もするけど。
殺すほどのことだったのかという思いもある。

滝川の思い込み、善意の押し付け、過去に対する償いの気持ち、なんかそういうものが全部切ないというか、本人は善と信じてやっているわけだから。
だけど、どうしてもそれを許せない、堪え難い人もいるわけで。
彼女にとっては、殺す以外に解決策を見出せなかったのかなという感じ。


何よりこの人の文章が素敵。
描写が綺麗で、書きとめて残しておきたいような表現がたくさんあった。

この街は、どこか肌寒いと思いながら、季節が通り過ぎてゆき、はっきりとした秋風が吹く八月末に必ず「夏」を思い出す。毎年、過去形でしか語られない夏があった。(p.112)

耳を澄ませば蝉の羽音のいくつかに、少し弱まったものが混じっているのがわかる。七日目なのか、八日目なのか、蝉は最期になにを思いながら鳴いているのか。滝川信夫の揺れ続けた数年が、十和田の森に溶けてゆく。(p.332)

この人の文章を、また別の作品でも読んでみたい。


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by etoile_yhm917 | 2018-01-31 22:48 | さ行-た行の作家 | Trackback

千の扉:柴崎友香


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広大な都営団地に住む千歳。
彼女は夫の祖父から「斉藤さん」を探してほしいと頼まれる。

面白くないことはなかったのだけど、面白いとは言い難く…。

場面が唐突に変わり、視点も変わる。
千歳だったり夫だったり、夫の母だったり、彼らにまつわる情景が断片的に切り取られて、フラッシュするように現れる。

文章自体は興味深く読み進んだけど、つかみどころがないというか、特に心に残るものもなかったような気がする。



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by etoile_yhm917 | 2017-12-01 16:38 | さ行-た行の作家 | Trackback

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辻村深月さん、お久しぶりです。


中学校1年生になってすぐ学校に行けなくなってしまった主人公、安西こころ。
ある日、部屋の鏡の表面が揺れて入って行くと、そこにはこころと同じ年頃の子がいた。
集められたのは全部で7人。
狼の面をつけた少女が現れて、秘密の鍵を探せと命じられるのだが…。

7人はそれぞれ学校に馴染みにくかったり、人と関わるのが苦手だったりする子どもたち。
彼らは鏡の向こうの城で仲間の大切さを知り、少しずつ成長していく。


こころとお母さんとのやりとりが、こころの視点から描かれているのが母親としては興味深かったなー。
母親として口に出さないでおこうと思ってるけど、ついため息とか言葉尻に気持ちが現れてしまう感じ。
そして、子どもはそれを敏感に、しかも正確に感じ取っている。

時間軸がずれていることには気づくのだけど、彼女たちはどうなってしまうのだろうという思いでどんどん読み進む。

最後は、それぞれの記憶にはないけど、でも彼らは成長していてひっそりとつながっているのがわかり、安心した。
よかった・・・と思える作品だった。



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by etoile_yhm917 | 2017-11-20 23:00 | さ行-た行の作家 | Trackback

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以前からタイトルが気になってて、面白そうだなーと思いながら、自腹で買うほどでもないかと思案してたところ、タイミングよく母が友達から借りてきたのを拝借した。

高齢者に配慮してか、文字がとっても大きくてサクサク読める。

さすが佐藤愛子さん、痛快だ。
今の世の中の風潮とか、人としての在り方とかバッサバッサ切って、年代的にどっちかっていうと愛子さんよりの私は、とはいえ愛子さんの言う昔と私の昔は多少隔たりがあるけれども、「だよねー、だよねー」なんて共感しながら読んだ。

そんな中で、一番印象に残ってるのは「グチャグチャ飯」。
これは愛子さんが飼うことを余儀なくされた犬の話なんだけど、我が家にいたわんこを思い出してしまった。
わりと状況が似てたのよねぃ。

駅で電車を待ちながら、恥ずかしいからなるべく笑わないようにしようと思って読んでたのに、こんなに痛快な話満載のエッセイなのに、このエピソードには不意打ちを食らった感じで、不覚にも涙が流れてしまった。


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by etoile_yhm917 | 2017-11-14 20:34 | さ行-た行の作家 | Trackback

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恋愛小説と謳ってあったので手を出すのを躊躇してたんだけど、友人が貸してくれたので読んでみました。
タイトル萌えです。

月のように死んで、生まれ変わる と言った瑠璃が電車のホームから転落して死んでしまう。
それから何度も別のるりが現われる。


なんとも不思議な物語だった。
生まれ変わることはあるのかもしれない、あるのかもしれないけど、わたしは なことあるわけないやん と思っている。

でも、文章にはすごく引き込まれた。
結局どうなのってことが気になって次々読み進んでいく。


最後はちょっと冗長かなーって気がした、というか、申し訳ないけどちょっと面倒になってきたのよね。
そんなに執着するかねってカンジ。


全然共感はできなかったけど、本当に文章には引き込まれたし楽しめた。



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by etoile_yhm917 | 2017-11-01 23:12 | さ行-た行の作家 | Trackback

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毎年楽しみな東京バンドワゴンシリーズ。
今回で12作目だそうだ。
ということは、わたしは堀田家と12年間お付き合いしてることになるなー。
長い付き合いだねぃ。


今回は本編にはほとんど登場してこない、というか1作目の時から既に亡くなっていたので当然だけど、藍子と紺のお母さん、つまり我南人の奥さんである秋実さんメインのお話。
我南人と秋実さんがどのようにして出会ったのかというお話でした。

サチさんが堀田家にお嫁に来ることになったいきさつと似てたけど。
つくづく堀田家の人々は人助けが好きなんだなーという印象。
最後は常に心温まるハッピーエンドなので安心して読める。


今作は二人が結婚するまでだったけど、じゃあ我南人と池沢百合枝さんはいつ、どういういきさつでああなったのだろうという疑問が湧いてくるよね。
それもそのうち明らかになるのだろうか。


堀田家の皆さん、また来年お会いしましょう。


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by etoile_yhm917 | 2017-09-23 22:15 | さ行-た行の作家 | Trackback

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またまた雫井さんにやられてしまった。

ある老夫婦が殺害された事件で、ベテラン検事最上は彼らから借金をしていた人のリストの中に、記憶に残っている名前を見つける。
それは最上が学生時代住んでいた寮の娘を殺した容疑者として取り調べられた松倉という男だった。
が、起訴には至らずその事件は既に時効を迎えていた。
それが今回の事件で、松倉の名前を見た時から最上の中で何かが動き始める。

警察が犯人と目星を付けたら、そこからその容疑者を犯人にするべくストーリーが組み立てられ、それに沿って証拠集めをしてく。
こういうふうにして冤罪は作られていくんだなーという思い。

それに対して、まっすぐに正義を貫こうとする若手検事奥野。

すっかり奥野に肩入れして読んでいたけど、奥野の正義は貫かれたはずだけど、どうなの。

晴れて釈放された松倉の態度と白川弁護士の言葉。
もう、これ、わたしの中ではどんでん返しとも言える衝撃だったよ。

奥野がすべてを投げ打って貫いた正義は正しかったのか・・・なんてしみじみ考えさせられてしまった。
もちろん、冤罪は絶対あってはいけないことだけど。

この作品で泣くとは思わなかったけど、奥野と一緒に泣いてしまったわ。


で、これ映画化されるんよねぃ。
最上検事をキムタクがね。
うーん、正直言って物足りない。
もっと重厚なイメージ。
 最上が先に、「悪かったな」という言葉をそっと沖野の目の前に差し出すように口にした。
ものすごく深い、印象的な場面だ。
この場面が映像になるのかどうかわからんけど、できるのか、キムタク。

どんなふうに映像化されるのか見てみたい気もするんだけど、ガッカリするのも怖いなー。



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by etoile_yhm917 | 2017-08-02 18:23 | さ行-た行の作家 | Trackback

一応このブログのジャンルは 本・読書 となってるんだけど、やっとそれにふさわしい内容の記事が書けたわー。
読むのにちょっと時間がかかってしまった。

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わたくし地方に住んでるもので、それが言い訳になるかどうかわからんけど、東京には今までの人生5、6回しか行ったことがなく、皇居には行ったけど東京會舘にはまったくもって何の思い入れもないわけで。

上巻(旧館)は創業時から第二次世界大戦を経て昭和39年の東京オリンピックの年までが描かれている。
フィクションだというけど、実名がバンバン出てくるので、ノンフィクションと勘違いしそうだ。

正直、上巻の方は東京會舘がいかに素晴らしいかということが書いてあって、感想といっても「へぇ〜〜、そうですかぁ」としか言いようのない感じだった。

が、下巻(新館)に入ってからは、もちろん東京會舘のスタッフの素晴らしさについても描いてあるのだけど、ひとつひとつのエピソードがとっても感動的で物語に入り込むことができた。
いちいちウルウルした。

第六章:旧館に思い入れのある芽衣子が69歳になって新館を訪れた。新館になって変わったところ、残されている旧館の面影、引き継がれている従業員たちの心。ステキだった。

第八章:2011年3月11日。あの日友人と外出していた文佳は地震の影響で帰れなくなり東京會舘で一夜を過ごす。無事に家に帰った文佳を迎えたのは、定年後東京會舘のクッキングスクールに通っていた夫が初めて作ったカレーだった。いやー、ほっこりしたねぃ。

第九章:両親に連れて行ったもらった東京會舘で親子げんかになり「これから先、俺が作家になった時には、万が一にも、自分が作家の親だなんて顔はしないでほしい。」と言って家を出た守。
9年後、彼は直木賞を受賞して記者会見の会場である東京會舘に戻ってくる。
うーん、泣けた。

そして、第十章では、70年前灯火管制の下で(第三章)結婚式を挙げた静子がひ孫の結婚式のために東京会館を訪れるという、まさにピタッとはまった感じで物語は終わりを迎える。

新しい東京會舘がオープンしたら一回行ってみようかとさえ思う。












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by etoile_yhm917 | 2017-07-19 18:06 | さ行-た行の作家 | Trackback